『“神”の歴史』

——意味の空席に何が座ったのか

神は死んだ。
だが、その席は空いたままだった。

その空席に座ったのは、人間か。
国家か。市場か。データか。AIか。

本書について

『“神”の歴史』は、「神は存在するのか」という信仰上の問いではなく、神という観念が人類史の中で何をしてきたのかを問いなおす、大型の知的ノンフィクションです。

本書で扱う神とは、主として西欧世界、とりわけユダヤ=キリスト教的伝統と西欧近代思想の中で形成されてきた絶対神です。

神を、信仰対象として肯定したり否定したりするのではありません。
本書は神を、意味を統合し、価値の根拠を与え、記憶を保存し、秩序を保証する情報的機能として捉えなおします。

神とは、信仰対象である以前に、意味・価値・記憶・秩序を統合する「完全情報」として機能してきたのではないか。
これが、本書の中心仮説です。

本書の問い

近代以後、神は退場しました。
しかし人間は、神を失いながらも、神の機能までは捨てられませんでした。

その空席には、理性、人間、国家、民族、革命、市場、マネー、データ、そしてAIが次々と座ろうとしました。

本書は、神話と神殿、中世の教会、宗教改革、デカルト、カント、キェルケゴール、ニーチェをたどりながら、神が担っていた意味保証の機能が、近代以後どのように分解され、世俗的な代替神へと移行したのかを描きます。

さらに、国家、民族、革命、資本主義、マネー、アルゴリズム、データセンター、AIによる判断委任、偽装された救済へと議論を進めます。

主な内容

本書は、宗教史ではありません。
神という観念が、人類史においてどのような情報的機能を担ってきたのかを問う思想史です。

神を「信仰対象」としてではなく、意味・価値・記憶・秩序を統合する外部審級として読み直します。

また本書は、ニーチェの「神は死んだ」を、AI時代の問題として再読します。
現代では、検索アルゴリズムが情報へのアクセスを決め、推薦システムが欲望を誘導し、信用スコアが人間を選別し、AIが人生上の判断に助言を返します。

これは神の復活ではありません。
しかし、かつて神が担っていた機能が、非人格的な情報システムの中に再配置されつつあるということです。

目次・構成

  • はじめに/序章
  • 第I部 情報哲学から見る「神」の問い
  • 第II部 神はいかに記憶装置となったか
  • 第III部 神はいかに内面化され、理性化されたか
  • 第IV部 神の空席を何が奪ったか
  • 第V部 神なき荒野の抵抗者たち
  • 第VI部 情報時代に神はどう変形するか
  • 終章/あとがき
  • 読書案内

こんな読者へ

  • 宗教、哲学、思想史、文明論に関心がある人
  • ニーチェの「神の死」や近代の意味喪失に関心がある人
  • AI、アルゴリズム、データ社会が人間の判断をどう変えるかを考えたい人
  • トルストイ、ヴィトゲンシュタイン、シモーヌ・ヴェイユを現代的文脈で読み直したい人
  • 分厚くても物語性のある大型知的ノンフィクションを読みたい人

刊行情報

刊行状況:商業出版打診中 / 大型企画
著者:Noman Lee
発行形態:商業出版または情報哲学出版より刊行予定