


『ボルツマンの悪魔』
——シュレーディンガーの猫と、アインシュタイン=ベルクソンのすれ違い
観測問題やシュレーディンガーの猫は、本当に問題だったのか。
月は、私たちが見ていないときも存在するのか。
本書について
『ボルツマンの悪魔』は、量子力学の観測問題を、物理学史、哲学史、認知の構造から読み直す思想書です。
1981年、哲学を学んでいた一人の大学生が、早稲田大学の物理学者・並木美喜雄の小さな論文「量子力学における観測問題」を手にしました。
そこに記されていた問いは、彼の世界観を根底から揺さぶりました。
物理学は世界を客観的に記述するはずだった。
しかし量子力学の測定問題の奥には、観測者という存在が、消すことのできない仕方で関与している。
それから四十年余り。
本書は、その日抱いた問いに正面から答える試みです。
本書の問い
観測問題の謎は、世界の側にあるのでしょうか。
それとも、観測者の認知構造のうちにあるのでしょうか。
本書は、19世紀末のウィーンで自死した物理学者ボルツマン、20世紀初頭のパリで聴衆を熱狂させた哲学者ベルクソン、1935年に「半殺しの猫」を考案したシュレーディンガー、そしてEPR論文で量子力学に反旗を翻したアインシュタインを、一つの物語として束ねます。
四人の亡霊が問いかけていた構造を、デコヒーレンス、ベル不等式の破れ、Wigner’s friend論争、時空創発理論へとつなぎます。
主な内容
本書の中心にあるのは、ひとつの仮説です。
量子力学が突きつけている観測の謎は、世界の側の不思議なのではない。
世界を切り出すという認知の操作——ボルツマンの「粗視化」とベルクソンの「空間化」——が、量子的なスケールで露呈したものではないか。
本書は、観測問題を、単なる量子力学の解釈問題としてではなく、観測者の認知構造の問題として読み直します。
目次・構成
- 序章 半殺しの猫と二人の亡霊
- 第1部 忘れられた鍵——ボルツマンの統計力学とマクスウェルの悪魔
- 第2部 密室のパラドックス——量子論誕生とシュレーディンガーの猫
- 第3部 平行宇宙の哲学者——ベルクソンの持続と空間化
- 第4部 すれ違う二つの世界——1922年4月6日のパリ討論
- 第5部 亡霊たちの帰還——二重スリット・デコヒーレンス・認知の二重収縮
- 第15章 他の解釈との対話
- 最終章 色眼鏡を超えて
- 終章 猫の箱は、ついに開けられる
こんな読者へ
- 量子力学の観測問題に関心がある人
- シュレーディンガーの猫や二重スリットを、哲学的に考えたい人
- ベルクソンとアインシュタインの関係に関心がある人
- ロヴェッリ、グリーン、ホーキングなどの科学書が好きな人
- 物理学と哲学の交差点にある読み応えのある思想書を求める人
刊行情報
刊行状況:加筆・刊行準備中 / 商業出版検討中
著者:Noman Lee
発行形態:商業出版または情報哲学出版より刊行予定